特殊車両通行許可申請とは何か

特殊車両通行許可申請は、道路法第47条の2に基づく制度です。車両制限令で定められた一般的制限値を一つでも超える車両は、道路管理者から通行許可を受けなければ道路を通行できません。

具体的には、幅2.5m、長さ12m、高さ3.8m、総重量20tのいずれかを超える車両が対象となります。運送業や建設業では、大型トラックやトレーラー、クレーン車などが該当するケースが多くあります。

特殊車両通行許可申請の書類とトラック許可を取らずに走行すると、罰則の対象になるだけでなく、社名が公表される可能性もあります。そのため、事業継続のためにも正しい手順での申請が必須となります。

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申請が必要になる車両の基準

一般的制限値の詳細

道路法に基づく一般的制限値は以下の通りです。これらの値を一つでも超えると、特殊車両として扱われます。

  • 幅:2.5m以下
  • 長さ:12.0m以下
  • 高さ:3.8m以下(高速道路・指定道路は4.1m以下)
  • 総重量:20.0t以下(高速道路・指定道路は25.0t以下)
  • 軸重:10.0t以下
  • 輪荷重:5.0t以下

重さは荷物を積んだ状態での重量なので、空車時は問題なくても積載時に超過するケースがあります。実際の運行前に、積載状態での重量を確認することが重要です。

該当する車両の種類

車両の構造が特殊な車両と、貨物が特殊な車両の2種類があります。車両の構造が特殊な例として、トラッククレーンなどの自走式建設機械、トレーラ連結車のバン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用の特例5車種が挙げられます。

特殊車両の種類を示すイラスト貨物が特殊な例としては、分割不可能な建設機械、大型発電機、電車の車体、電柱などがあります。単車でも車両の内容によっては申請が必要になる場合があるため、判断に迷ったら確認することをおすすめします。

申請から許可までの流れ

全体の流れと所要期間

申請から許可証発行までは、内容によって3日から40日程度かかります。車両や通行経路に特別な審査が必要な場合は、さらに時間がかかることがあります。

申請書に不備が見つかった場合、そこからさらに3ヵ月かかり、結果として約半年かかる場合もあります。そのため、早めの準備と正確な書類作成が重要になります。

申請窓口の選び方

出発地から目的地までの経路の道路管理者が一つの場合は、当該道路を管理する道路管理者に申請します。申請経路が2以上の道路管理者に跨る場合は、いずれかの管理者に申請することが可能です。

ただし、政令指定都市以外の市町村は、他の道路管理者の審査を要する経路を含んだ申請を受け付けることができません。国道事務所や地方自治体の道路管理課が窓口となります。

道路管理者への申請窓口埼玉県では道路環境課総務・管理担当が全ての事務を行っており、栃木県では令和8年1月5日からオンライン申請の受付も開始されています。自治体によって対応が異なるため、事前に確認が必要です。

申請方法の種類

申請方法には、窓口申請、郵送申請、オンライン申請の3種類があります。窓口申請の場合、受付時間は午前9時から午前11時45分まで及び午後1時から午後4時までです。

郵送申請の場合は、申請に必要なものを郵便(信書扱い便)で送付します。オンライン申請は、自治体申請システムを利用して土木事務所宛てにオンラインで申請するもので、事前にユーザー情報の登録が必要です。

案件によってはオンラインで完結しますが、内容によっては郵送や対面対応が必要な場合もあります。申請方法は案件の内容や緊急度に応じて選択することをおすすめします。

必要書類の準備と作成方法

新規申請に必要な書類一覧

新規申請において必要な書類は以下の通りです。代理人が申請される場合は、その旨の委任状(様式任意)を添付してください。

  1. 特殊車両通行許可申請書(様式第1・様式第2)
  2. 車両内訳書(包括申請の場合)
  3. 車検証の写し(原則:窓口申請の場合)
  4. 車両諸元に関する説明書
  5. 軌跡図(超寸法車両又は道路管理者から求められた場合)
  6. 適合証明書(ラフタークレーン等の新規開発車両)
  7. 通行経路表
  8. 経路図
  9. 出発地、目的地、未収録路線の地図
  10. 特殊車両通行許可システムで作成した申請データを記録した記録媒体(窓口申請の場合)
  11. その他上記以外の書類で道路管理者から必要と求められた書類

特殊車両通行許可申請の必要書類特殊車両通行許可申請書の記載内容

様式第1には申請者や通行期間、車種、車両番号、積載貨物、積載物の寸法、車両諸元等が記載されます。様式第2は記載内容は様式第1と同じですが、下段の部分が特殊車両通行許可証となり、許可証として交付される際に許可番号と許可年月日、許可証の有効期間が記載されます。

これらは特殊車両通行許可システムを使用して作成します。システムの操作方法は国土交通省のウェブサイトで確認できます。

車両内訳書と車検証の扱い

車両内訳書は包括申請の時だけ添付します。包括申請とは、車種、車軸数、積載貨物、通行経路及び通行許可期間が同じである2台以上の申請台数について一つの許可申請書によってする申請のことです。

申請車両が1台だけの普通申請の場合は必要ありません。車検証の写しは主に窓口で申請する際に必要となり、申請する時に車検証の有効期限が切れていないか注意が必要です。

オンライン申請の際は、原則として添付する必要はありません。車検登録前でも特車申請をする事が可能で、これにより車検登録後速やかに特殊車両として走行することができます。

車両諸元に関する説明書の作成

車両の長さ、幅、高さ、重量、軸重、軸距や積載物重量等、申請する車両の詳細な情報が記載されます。これらは、申請車両の車検証と諸元表、外観図を元に入力します。

特殊車両通行許可システムを使用して作成し、諸元表と外観図はメーカーに問い合わせてFAX又はメール等で送ってもらう必要があります。ただし、メーカーによっては有料となる場合があります。

軌跡図と適合証明書

軌跡図は申請車両が超寸法車両の場合や道路管理者から求められた場合に必要となります。軌跡図作成ソフトで作成するか、製造メーカーからもらう必要があり、道路管理者から求められた場合、縮尺や角度を指定される場合があります。

道路管理者が申請された車両が交差点等を曲がれるかどうか判断するのに必要となり、一般的には道路台帳に軌跡図を照らし合わせて接触せずに曲がれるかどうかで判断しています。

車両軌跡図の作成イメージ適合証明書は、新たに設計製作される車両(新規開発車両)で、車両制限令第3条で定める一般的制限値を超えるもので、届出書を提出して、国土交通省道路局から基準に適合する車両として認められ交付される証明書のことです。主にラフタークレーンなどの新規開発車両が対象となります。

通行経路表と経路図の準備

通行経路表には、出発地から目的地までの経路を記載します。経路図は、通行する道路を地図上に示したもので、出発地、目的地、未収録路線の地図も必要です。

これらも特殊車両通行許可システムを使用して作成できます。経路が複雑な場合や未収録路線がある場合は、詳細な地図の添付が求められることがあります。

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申請手数料と納付方法

手数料の計算方法

通行経路が2以上の道路管理者にまたがるときは、申請書が受け付けられた時点で手数料が必要です。手数料の計算方法は、申請車両台数×通行経路数×200円となります。

例えば、申請車両台数が4台、6ルートを往復申請する場合、4台×12経路×200円=9,600円となります。車両台数は、車両内訳書に記載された台数としています。

窓口申請でのキャッシュレス納付

窓口申請の場合は、窓口端末によるキャッシュレス決済になります。キャッシュレス決済の受付は16時までとなるので注意が必要です。

利用可能な決済ブランドは以下の通りです。手続後、レシートを発行しますが、領収書は発行しないのであらかじめ了承が必要です。

  • クレジットカード・デビットカード:Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club
  • 電子マネー:nanaco、WAON、楽天Edy
  • 交通系電子マネー:Kitaca、Suica、PASMO、TOICA、manaca、ICOCA、SUGOCA、nimoca、はやかけん(PiTaPaは使用不可)
  • コード決済:PayPay、au PAY、楽天ペイ、d払い

郵送申請での電子納付

郵送申請の場合は、電子申請・届出サービスの電子納付になります。電子納付にあたっては、当該申請書類を郵送する前に電子申請・届出サービスに必要事項を入力する必要があります。

電子納付の手続き画面利用可能な決済ブランドは、クレジットカード・デビットカード(VISA、Mastercard、JCB、AmericanExpress、DinersClub)、PayPay、メルペイ、楽天Edy、モバイルSuica、Apple Pay、Pay-easy、コンビニ収納(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、ミニストップ、セイコーマート)の8つです。

栃木県では、令和8年3月31日で収入証紙が廃止(販売終了)となり、利用は令和9年3月31日まで可能です。他の都道府県でも同様の動きがあるため、最新情報を確認することをおすすめします。

オンライン申請システムの活用方法

自治体申請システムの利用手順

自治体申請システムを利用して、土木事務所(道路管理者)宛てオンラインで申請します。自治体申請システムの利用には、事前にユーザー情報の登録が必要です。

申請支援システムで作成した申請データ、車検証の写しや経路図などの提出書類を電子データで用意し、自治体申請システムからオンライン登録することで申請できます。土木事務所窓口又は郵送での書面申請も引き続き可能です。

許可証はこれまでどおり「窓口」又は「郵送」での交付となります。完全なペーパーレス化はまだ実現していませんが、申請手続きの負担は大幅に軽減されます。

オンライン申請のメリット

オンライン申請は、窓口に行く手間が省けるため、時間と交通費の節約になります。24時間いつでも申請できるため、営業時間を気にする必要がありません。

書類の郵送も不要なので、申請から許可までの時間が短縮される可能性があります。ただし、許可証の受け取りは窓口または郵送となるため、完全にオンラインで完結するわけではありません。

オンライン申請の注意点

事前にユーザー情報の登録が必要なため、初回は準備に時間がかかります。申請データや提出書類を電子データで用意する必要があるため、スキャナーやPDF作成ソフトが必要です。

システムの操作方法に慣れるまで時間がかかる場合があります。内容によっては郵送や対面対応が必要な場合もあるため、事前に確認が必要です。

よくある失敗例と対策

書類不備による差し戻し

申請書に不備が見つかると、そこからさらに3ヵ月かかり、結果として約半年かかる場合もあります。よくある不備として、車検証の有効期限切れ、諸元表と車検証の内容の不一致、経路図の不明瞭さなどがあります。

対策として、申請前にチェックリストで確認すること、車検証の有効期限を必ず確認すること、諸元表はメーカーから正確なものを取り寄せることが重要です。特に車検証の有効期限は見落としやすいポイントなので、申請直前に再確認することをおすすめします。

審査期間の長期化

近年、オリンピック開催に伴う大規模工事や物流ドライバー不足による車両の大型化の需要が拡大していることから、特殊車両通行許可の申請が急増しています。許可件数は2013年の約26万件から2017年は約37万件へ5年で1.4倍も増加し、審査日数も約23日から約50日へと2.2倍も増加しています。

申請書類の確認作業対策として、早めの申請準備、繁忙期を避けた申請、専門家への依頼が有効です。特に年度末や大型連休前は申請が集中するため、可能であれば時期をずらすことをおすすめします。

出典

SmartDrive「運送業や建設業は必見!? 特殊車両通行許可制度について」

より作成

許可取得後の注意点

許可を取得しても、許可条件を守らなければ違反となります。許可された経路以外を走行すること、許可された積載量を超えること、許可期間を過ぎて走行することは違反です。

違反すると、罰則の対象になるだけでなく、社名が公表される可能性もあります。対策として、許可証の内容を運転手に周知徹底すること、許可期間の管理を徹底すること、経路変更が必要な場合は事前に変更申請をすることが重要です。

更新申請と変更申請の手続き

更新申請の手順とタイミング

許可の有効期間は基本的に2年間ですが、国土交通省は2019年3月までに現行2年間の許可期間を基本は3年に延長し、優良事業者は4年に延長する方針を固めています。更新申請は、許可期間が満了する前に行う必要があります。

更新申請の料金は7,700円(税込)で、新規申請よりも安価です。更新申請に必要な書類は、新規申請とほぼ同じですが、前回の許可証の写しが必要になります。

変更申請が必要なケース

車両の変更、経路の変更、積載物の変更など、許可内容に変更がある場合は変更申請が必要です。変更申請の料金は11,000円(税込)です。

変更内容によっては、新規申請と同等の審査が必要になる場合があります。変更申請を怠ると、許可条件違反となるため、変更が生じた場合は速やかに申請することが必要です。

継続手続きの重要性

許可期間が満了すると、許可が失効し、再度新規申請が必要になります。新規申請は更新申請よりも時間と費用がかかるため、許可期間の管理が重要です。

許可期間満了の1ヵ月前には更新申請を開始することをおすすめします。継続手続きを怠ると、事業に支障をきたす可能性があるため、計画的な管理が必要です。

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まとめ

特殊車両通行許可申請は、運送業や建設業にとって必須の手続きです。申請には多くの書類が必要で、審査期間も3日から40日程度かかります。

書類不備による差し戻しを避けるため、事前のチェックが重要です。オンライン申請の活用や、専門家への依頼も検討する価値があります。

許可取得後も、許可条件の遵守と更新手続きの管理が必要です。当事務所では、特殊車両通行許可申請の代行サービスを提供しています。

初回相談は無料で、土日祝日や夜間のお問い合わせにも対応しています。明朗会計で事前に必ずお見積もりをご提示し、追加料金もいただいておりません。

申請でお困りの際は、ぜひ当事務所にご相談ください。

投稿者プロフィール

高山 秀康
高山 秀康エクリ行政書士事務所