特殊車両の無許可違反とは
特殊車両の無許可違反とは、道路法で定められた一般的制限値を超える車両を、道路管理者の許可なく通行させることです。
一般的制限値は、車両の大きさが長さ12m×幅2.5m×高さ3.8m(高さ指定道路は4.1m)まで、車両の重さは総重量が20t(高速自動車国道または指定道路は25t)、軸重10tと定められています。この制限値を超える車両は「特殊車両」として扱われ、通行には事前の許可申請が必須です。
無許可違反には以下のパターンがあります。
- 許可を一切取得せずに通行
- 許可の更新を忘れて期限切れのまま通行
- 許可経路とは異なるルートを走行
- 許可証を車内に備え付けていない
- 許可された車両諸元(幅・全長・高さ・総重量など)を超過
- 誘導者の配置義務など許可条件に違反
営業所を複数持つ運送事業者は、営業所間で車両を移動した場合に車番が変更されるため、車番変更申請をしなければ無許可の扱いになります。
無許可違反の罰則内容
特殊車両の無許可違反には、道路法に基づく厳しい罰則が設けられています。
道路法による罰則
100万円以下の罰金が科される違反は以下の通りです。
- 一般的制限値違反・無許可通行(道路法104条第1項)
- 許可証不携帯(道路法104条第2項)
6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される違反もあります。
- 橋梁等の制限違反(道路法第103条第4項)
- 措置命令違反(道路法第103条第5項)
両罰規定の適用
道路法第107条には法人両罰規定があります。
これは違反行為をした運転者を罰するだけでなく、その法人等に対しても罰則を適用するものです。運転者個人だけでなく、会社全体が責任を問われます。
即時告発制度
悪質な事業者に対しては「即時告発」という制度があります。
無許可車両の場合は、一般的制限値の2倍以上で即時告発の対象です。例えば一般的制限値が20tの場合、40t以上の車両を無許可で通行させると即時告発されます。
許可を受けている車両の場合でも、一般的制限値の2倍+(許可を受けた車両重量-一般的制限値)を超えると即時告発の対象となります。
出典
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取締りの実態と流れ
特殊車両の取締りは年々強化されています。
取締り方法
国道事務所による取締りは、主に2つの方法で実施されます。
指導取締基地での取締りでは、国が管理する直轄国道上の基地で道路管理員と警察官が同時に取り締まりを行います。違反の内容によって警告書、措置命令書の交付、軽減措置等が実施されます。
車両重量自動計測装置による取締りでは、走行中の車両を自動的に計測し違反の有無を確認します。許可内容のデータベースとオンラインで照合することが可能となり、取締りに利用される機会が増えています。違反が発覚した場合、後日車両の使用者である運送事業者へ警告書等が送られます。
違反発覚後の措置
違反が発覚した場合、違反の程度に応じて段階的な措置が取られます。
警告は、違反の程度が軽微であり措置命令処分を行う必要がないと認められる場合に行われます。文書や電話などで警告書が出されます。
措置命令では、積載物(重量等)や寸法を軽減できる措置がとれれば良いのですが、難しいケースであれば許可を取得するまでの通行中止などが命じられます。クレーンやトレーラを派遣してもらうなど時間のロスやコストも高くつきます。
是正指導として、何度も違反を繰り返した場合は国道事務所への呼び出しを受け対面での行政指導を受けます。呼び出しに応じない事業者には立ち入り検査が行われることもあります。
公表では、繰り返し警告や是正指導を受けた場合、違反事業者として国土交通省HPにて社名の掲載が行われます。
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高速道路での取締り強化
高速道路各社は、道路の老朽化に伴う損傷防止や法令違反抑止、安全走行の啓発を目的に、重量制限超過車両等の取締まりを強化しています。
点数累積制度
高速道路では違反の累積点数に応じて「指導」「割引停止」「利用停止」の措置が実施されます。
違反種別ごとに以下の点数が設定されています。
- 警告相当:3点
- 措置命令A相当:5点
- 措置命令B又はC相当:15点
- 措置命令相当かつ基準値の2倍以上の重量超過:30点
- 軸重超過走行(自動計測機による):1走行につき3点
契約者が2年間に3回の「警告」を受けた場合、契約者のカード全部に対し割引を停止する措置が講じられます。
即時告発と割引停止
重量が基準の2倍以上の特殊車両を通行させた場合は、直ちに告発されます。
告発を行った場合は、累積違反点数にかかわらず、一部割引停止(1か月)が適用されます。悪質な違反者については、告発するとともに、累積点数にかかわらず一部割引停止が実施されます。
違反車両に対する措置命令は年間1,000件以上に上っており、依然として違反事業者が多い状況です。
出典
特殊車両通行制度の無許可、違反者への罰則 | 特車サポートセンター
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許可取消しと告発の条件
特に悪質な違反に対しては、許可の取消しや告発が行われます。
許可取消しの対象
道路管理者が付した条件に違反して特殊車両を通行させ、人の死亡又は重傷に係る交通事故若しくは道路の損壊に係る重大な交通事故を発生させたときなどは許可を取り消される場合があります。
その場合は速やかに許可証を返還しなくてはなりません。
告発の対象となる条件
以下のケースでは使用者と事業者が告発される場合があります。
- 無許可、もしくは許可の条件に違反して特殊車両を通行させ死亡事故や重傷事故、道路に大きな損害を与える事故を発生させた場合
- 無許可、もしくは許可の条件に違反して特殊車両を通行させ通行の中止、総重量の軽減、徐行など命令を道路管理者から受けたにも関わらず違反した場合
- 無許可、もしくは許可の条件に違反して特殊車両を通行させることを、常習的に行っている場合
荷主への勧告
罰則等の範囲は実際に無許可などの違反行為を摘発された事業者だけに留まりません。
運送中の貨物の荷主にも勧告が行われる場合があります。荷主側も無許可運行に加担したとみなされる可能性があるため、運送業者の許可状況を確認することが重要です。
出典
特殊車両通行制度の無許可、違反者への罰則 | 特車サポートセンター
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正しい申請手順
無許可違反を回避するには、正しい手順で許可申請を行うことが必須です。
申請前の準備
まず申請に必要な書類を揃えます。
- 車検証または車両の詳細を記した説明書
- 通行経路の情報(出発地・目的地)
- 積載物の情報
- 通行期間
- 委任状(代行依頼の場合)
特殊車両通行許可申請はオンライン上でもできるようになり、比較的容易な手続きができるようになりました。
申請から許可までの流れ
申請の流れは以下の通りです。
1. 問い合わせでは、メールまたはLINEで申請の可否や大まかな内容を確認します。
2. 申請依頼と必要書類の提出として、申込書・委任状・申請条件(出発地・目的地・積載物・期間等)を提出します。これらの提出は、申請を依頼する意思表示となります。
3. 見積もりの提示では、提出された申請内容をもとに正式な見積もりが提示されます。車両数・経路数のほか、申請方法や申請先の状況を踏まえて費用が算出されます。
4. 見積もり同意(正式受任)で、見積もり内容に同意した時点で正式受任となります。見積もり提示後のキャンセルでもキャンセル料は発生しません。
5. 入金・申請業務着手として、入金確認後に申請書類の作成および申請業務に着手します。
6. 許可申請・許可証発行で、申請後、許可証が発行され次第案内されます。
許可証発行までの期間
許可証が発行されるまでの期間は内容によって異なりますが、目安として3日から40日程度です。
車両や通行経路に特別な審査が必要な場合は時間がかかることがあります。許可取得を急ぐ場合は、役所による審査期間を縮めることはできませんが、最短で申請することが重要です。
申請代行サービスの活用
特殊車両通行許可の申請は、専門的な知識と時間を要する作業です。
代行サービスのメリット
行政書士による申請代行サービスを利用すると、以下のメリットがあります。
- 申請に必要な内容を分かりやすく整理してもらえる
- 本業に集中できる時間が確保できる
- 差し戻しのリスクを回避できる
- 必要書類の最短整理が可能
- 急ぎ対応にも対応してもらえる
経営者の仕事は事業の判断と意思決定です。手続きに追われて本業の時間が削られないよう、必要事項の整理から申請までを専門家に任せることで、経営者の負担を大幅に軽減できます。
料金体系の例
申請代行サービスの料金体系は明朗会計が基本です。
一般的な料金例として、新規申請は13,200円(税込)で1台につき2経路(往復)の料金、車両追加は3,300円(税込)、経路追加は5,500円(税込)で1経路あたりの料金、更新申請は7,700円(税込)、変更申請は11,000円(税込)といった設定があります。
これらの報酬とは別に、道路管理者への通行手数料が必要で、経路によって異なりますが申請車両台数×申請経路数×200円が目安となります。
サポート体制
初回相談料は無料で、要件診断や各種相談を無料で受け付けている事務所が多くあります。
土日祝日や夜間の問い合わせにも対応しており、メールまたはLINEで相談内容を受け付けています。事前に必ず見積もりを提示し、追加料金は発生しない明朗会計を採用している事務所を選ぶと安心です。
見積もり提示後のキャンセルでもキャンセル料が発生しない事務所もあるため、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。
まとめ
特殊車両の無許可違反は、100万円以下の罰金や車両使用停止命令などの重い罰則が科されます。
違反は運転者個人だけでなく、法人両罰規定により会社全体が責任を問われます。取締りは年々強化されており、自動計測装置による監視も拡大しています。悪質な違反者は社名公表や告発の対象となり、事業継続に大きな影響を及ぼします。
無許可違反を回避するには、正しい手順で許可申請を行うことが必須です。申請から許可までは3日から40日程度かかるため、余裕を持った準備が重要です。
申請手続きに時間を割けない多忙な経営者や、許可取得を急ぐ事業者、荷主・元請から許可取得を要請されている事業者は、行政書士による申請代行サービスの活用を検討してください。初回相談無料で土日祝日・夜間も対応可能な事務所を選べば、スムーズに許可取得を進められます。
本業に集中しながら確実に許可を取得し、無許可違反のリスクを完全に回避しましょう。
投稿者プロフィール

- エクリ行政書士事務所


両罰規定の適用
違反発覚後の措置
即時告発と割引停止
荷主への勧告
許可証発行までの期間




