特殊車両申請とは?初めての方が知るべき基本
特殊車両通行許可申請は、車両制限令で定められた一般的制限値を超える車両を道路で通行させるために必要な手続きです。
道路は一定の重量・寸法の車両が安全・円滑に通行できるよう設計されています。この基準を超える車両は、道路の構造や交通に支障を及ぼすおそれがあるため、原則として通行できません。ただし、社会経済上の要請から大型車両の通行が必要となる場合があり、道路管理者が車両の構造または積載する貨物が特殊であると認める場合に限り、必要な条件を付して通行を可能とする制度が設けられています。
この制度には2つの方法があります。令和4年4月から運用開始された「特殊車両通行確認制度」と、従来の「特殊車両通行許可制度」です。確認制度では、予め登録された車両について道路情報が電子化された道路を対象にオンラインで即時に通行が可能となります。出発地・目的地を入力すれば一度に複数の通行可能経路が表示されるなど、許可制度と比較して使い勝手が良い手続きとなっています。
初めて申請する方にとって、どちらの制度を利用すべきか、どのような書類が必要か、手続きの流れはどうなっているのかを理解することが重要です。
一般的制限値を超えると申請が必要になる
特殊車両申請が必要かどうかを判断するには、まず一般的制限値を知る必要があります。
車両制限令で定められた主な最高限度は以下の通りです。幅は2.5m、高さは3.8m、長さは12m、重量は20tです。これらのいずれかを超える車両は特殊車両として扱われ、通行許可が必要になります。
重量に関してはさらに細かい規定があります。軸重(1つの車軸にかかる重量)は10t、隣り合う車軸の軸距が1.8m未満の場合は隣り合う2つの車軸の合計18t(隣り合う車軸の軸距が1.3m以上で、かつ隣り合う車軸の軸重がいずれも9.5t以下の場合は19t)、隣り合う車軸の軸距が1.8m以上の場合は隣り合う2つの車軸の合計20tという基準があります。
セミトレーラやフルトレーラなどの連結車両の場合は、さらに複雑な計算が必要です。連結部分の軸重配分や全長の計算方法が通常の車両とは異なるため、注意が必要です。
車検証を確認して、自社の車両がこれらの制限値を超えているかどうかをまず確認しましょう。超えている場合は、通行させる前に必ず許可を取得する必要があります。
特殊車両申請に必要な書類一覧
新規申請で必要となる書類を整理します。
最も基本となるのが特殊車両通行許可申請書(様式第1・様式第2)です。様式第1には申請者や通行期間、車種、車両番号、積載貨物、積載物の寸法、車両諸元等が記載されます。様式第2は記載内容は様式第1と同じですが、下段の部分が特殊車両通行許可証となり、許可証として交付される際に許可番号と許可年月日、許可証の有効期間が記載されます。これらは特殊車両通行許可システムを使用して作成します。
包括申請の場合に必要な車両内訳書
車両内訳書は包括申請の時だけ添付します。包括申請とは、車種、車軸数、積載貨物、通行経路及び通行許可期間が同じである2台以上の申請台数について一つの許可申請書によってする申請のことです。
申請車両が1台だけの普通申請の場合は必要ありません。申請書の様式第1に申請車両の車両番号と車名、型式が記載されているためです。包括申請で複数台申請する場合は、申請書の様式第1に代表車として1台だけ車両番号と車名、型式が記載され、それ以外の車両は「他〇台」と記載されます。車両内訳書にて申請する全ての車両の車両番号と車名、型式が記載されることになります。
車検証の写しと車両諸元に関する説明書
車検証の写しは主に窓口で申請する際に必要となります。申請する時に車検証の有効期限が切れていないか注意しましょう。オンライン申請の際は、原則として添付する必要はありません。
車検証登録前でも特車申請をすることが可能です。これにより車検登録後速やかに特殊車両として走行することができます。ただし、申請前に必ず申請先に事前相談を行い、車検証に代わる車両の資料(車両の実測結果・メーカーカタログ・保安基準緩和認定の写し等)を添付します。車検登録後、速やかにその車検証の写しを申請先に提出します。車検証を提出しない限り許可証は交付されません。
車両諸元に関する説明書には、車両の長さ、幅、高さ、重量、軸重、軸距や積載物重量等、申請する車両の詳細な情報が記載されます。これらは申請車両の車検証と諸元表、外観図を元に入力します。特殊車両通行許可システムを使用して作成します。諸元表と外観図はメーカーに問い合わせてFAX又はメール等で送ってもらう必要があります。ただし、メーカーによっては有料となる場合があります。
通行経路に関する書類
通行経路表、経路図、出発地・目的地・未収録路線の地図が必要です。これらは通行する道路を明確にするための書類です。
特殊車両通行許可システムで作成した申請データを記録した記録媒体(窓口申請の場合)も必要になります。事前にウイルスチェックをお願いします。
その他の必要書類
申請車両が超寸法車両の場合や道路管理者から求められた場合には軌跡図が必要となります。軌跡図作成ソフトで作成するか、製造メーカーからもらう必要があります。道路管理者から求められた場合、縮尺や角度を指定される場合があります。道路管理者が申請された車両が交差点等を曲がれるかどうか判断するのに必要となり、一般的には道路台帳に軌跡図を照らし合わせて接触せずに曲がれるかどうかで判断しています。
新たに設計製作される車両(新規開発車両)で、車両制限令第3条で定める一般的制限値を超えるもので、届出書を提出して国土交通省道路局から基準に適合する車両として認められ交付される適合証明書も、該当する場合は必要です。主にラフタークレーン等の新規開発車両が対象となります。
その他、道路管理者から必要と求められた書類がある場合は追加で用意する必要があります。
出典特殊車両通行許可申請サポート「申請から許可までの流れについて」より作成
申請から許可証発行までの手順
申請から許可証が手元に届くまでの流れを順を追って説明します。
ステップ1:必要書類を揃える
まず前述した必要書類を全て揃えます。車検証の写し、メーカーから取り寄せた諸元表と外観図、通行経路の情報などを準備しましょう。
特殊車両通行許可システムにアクセスし、申請書類を作成します。システムの使い方が分からない場合は、事前に申請窓口に相談することをおすすめします。
ステップ2:申請先を確認する
申請先は通行する道路の管理者によって異なります。出発地から目的地までの経路の道路管理者が一つの場合は、当該道路を管理する道路管理者に申請します。
申請経路が2以上の道路管理者に跨る場合は、いずれかの管理者に申請することが可能です。ただし、政令指定都市以外の市町村は、他の道路管理者の審査を要する経路を含んだ申請を受け付けることができません。
国の機関、各高速道路会社、都道府県・政令市のいずれかが申請窓口となります。自分の通行経路に応じて適切な窓口を選びましょう。
ステップ3:申請方法を選ぶ
申請方法は窓口申請、郵送申請、オンライン申請の3つがあります。
窓口申請の場合、受付時間は午前9時から午前11時45分まで及び午後1時から午後4時までが一般的です。申請書2部(正・副)と添付図書、算定用FDまたはCD、返送用封筒(許可書の受領を郵送で希望する場合)を持参します。代理人が申請される場合は、その旨の委任状(様式任意)を添付してください。
郵送申請の場合は、必要書類を郵便(信書扱い便)で送付します。送付の際には「特殊車両通行許可申請書 在中」と封筒等に明示してください。
オンライン申請は特殊車両通行許可オンライン申請サイトから行います。案件によってはオンラインで完結しますが、内容によっては郵送や対面対応が必要な場合もあります。
ステップ4:手数料の支払い
通行経路が2以上の道路管理者にまたがるときは、申請書が受け付けられた時点で手数料が必要です。
手数料の計算方法は、申請車両台数×通行経路数×200円となります。例えば申請車両台数が4台、6ルートを往復申請する場合、4台×12経路×200円=9,600円です。車両台数は車両内訳書に記載された台数としています。
窓口申請の場合は、窓口端末によるキャッシュレス決済になります。クレジットカード・デビットカード、電子マネー、交通系電子マネー、コード決済が利用可能です。郵送申請の場合は、電子申請・届出サービスの電子納付になります。
出典埼玉県「特殊車両の通行許可申請」より作成
ステップ5:審査期間を待つ
許可証が発行されるまでの期間は内容によって異なりますが、目安として3日から40日程度です。車両や通行経路に特別な審査が必要な場合は時間がかかることがあります。
審査期間中に道路管理者から追加書類の提出や内容の確認を求められる場合があります。その場合は速やかに対応しましょう。
ステップ6:許可証の受領
審査が完了すると、許可証が発行されます。窓口申請の場合は窓口で受け取るか、返送用封筒を提出していれば郵送で届きます。オンライン申請の場合は電子データで交付される場合もあります。
許可証には許可番号、許可年月日、許可証の有効期間が記載されています。通行する際は必ず許可証を携行してください。
初めての方がつまずきやすいポイントと対策
初めて申請する方が特につまずきやすいポイントを挙げます。
車検証の情報と実際の車両の違い
車検証に記載されている寸法や重量と、実際の車両の状態が異なる場合があります。特に改造や架装を行った車両では注意が必要です。
申請前に必ず実測を行い、車検証の情報が正確かどうかを確認しましょう。不一致がある場合は、車検証の記載内容を修正してから申請する必要があります。
通行経路の設定ミス
通行経路を設定する際、実際に通行できない道路を含めてしまうケースがあります。道路幅や橋の耐荷重、トンネルの高さ制限などを事前に確認しておくことが重要です。
特殊車両通行許可システムには道路情報が登録されていますが、全ての道路が網羅されているわけではありません。未収録路線がある場合は、別途地図を添付する必要があります。
軌跡図の作成漏れ
超寸法車両の場合や道路管理者から求められた場合、軌跡図が必要になります。軌跡図は車両が交差点等を曲がれるかどうかを判断するための重要な資料です。
軌跡図作成ソフトを使用するか、製造メーカーに依頼して作成してもらいましょう。道路管理者から縮尺や角度を指定される場合があるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
申請期限の見落とし
許可証の有効期間が切れる前に更新申請を行う必要があります。有効期間が切れてから申請すると、新規申請として扱われるため、審査期間が長くなります。
更新申請は有効期間満了の1か月前から受け付けている場合が多いです。余裕を持って申請しましょう。
手数料の計算ミス
手数料は申請車両台数×通行経路数×200円で計算します。往復で申請する場合は経路数が2倍になることを忘れないようにしましょう。
例えば1台の車両で3つのルートを往復申請する場合、1台×6経路×200円=1,200円となります。
オンライン申請の流れと注意点
オンライン申請は特殊車両通行許可システムを利用して行います。
まず特殊車両通行許可オンライン申請サイトにアクセスし、ユーザー登録を行います。登録にはメールアドレスが必要です。
ユーザー登録が完了したら、システムにログインして申請書類を作成します。車両情報、通行経路、積載物の情報などを入力していきます。
必要な添付書類をPDFファイルなどでアップロードします。車検証の写し、諸元表、外観図、経路図などをスキャンして準備しておきましょう。
全ての情報を入力し、添付書類をアップロードしたら、申請内容を確認して送信します。送信後は申請番号が発行されるので、控えておきましょう。
オンライン申請の場合、手数料の支払いもオンラインで行います。クレジットカードや電子マネーなどが利用できます。
審査が完了すると、登録したメールアドレスに通知が届きます。許可証はシステムからダウンロードできます。
オンライン申請の注意点として、システムの操作に慣れるまで時間がかかる場合があります。初めて利用する場合は、余裕を持って申請することをおすすめします。また、添付書類のファイルサイズに制限がある場合があるため、事前に確認しておきましょう。
特殊車両通行確認制度との違い
令和4年4月から運用が開始された特殊車両通行確認制度は、従来の許可制度とは異なる新しい仕組みです。
確認制度では、予め登録された車両について、道路情報が電子化された道路を対象にオンラインで即時に通行が可能となります。システムに出発地・目的地を入力すれば一度に複数の通行可能経路が表示されるなど、許可制度と比較して使い勝手が良い(早い、簡単、便利)手続きとなっています。
確認制度を利用するには、まず車両を登録する必要があります。登録された車両は、道路情報が電子化された指定道路を即時に通行できます。
許可制度との大きな違いは、審査期間がほぼゼロになることです。確認制度では、システムが自動的に通行可能かどうかを判定するため、申請から通行可能になるまでの時間が大幅に短縮されます。
ただし、確認制度を利用できるのは道路情報が電子化された道路に限られます。全ての道路で利用できるわけではないため、通行経路によっては従来の許可制度を利用する必要があります。
確認制度の運営は、指定登録確認機関である一般財団法人道路新産業開発機構が担っています。詳細は同機構のウェブサイトで確認できます。
出典国土交通省「特殊車両通行制度について」より作成
申請を行政書士に依頼するメリット
特殊車両申請は自分で行うこともできますが、行政書士に依頼することで多くのメリットがあります。
最大のメリットは時間の節約です。申請に必要な書類の準備、システムへの入力、窓口への提出など、一連の手続きには相当な時間がかかります。本業が忙しい経営者にとって、これらの作業に時間を取られることは大きな負担です。
行政書士に依頼すれば、必要事項を伝えるだけで全ての手続きを代行してもらえます。書類の作成から提出、許可証の受領まで、全てを任せることができます。
また、専門家のノウハウを活用できることも大きなメリットです。初めて申請する場合、どのような書類が必要か、どのように記入すればよいか、分からないことが多いでしょう。行政書士は申請手続きの専門家なので、スムーズに手続きを進めることができます。
差し戻しを回避できることも重要です。申請内容に不備があると、道路管理者から差し戻されて再提出が必要になります。これにより許可証の取得が遅れてしまいます。行政書士に依頼すれば、事前に内容をチェックしてもらえるため、差し戻しのリスクを大幅に減らすことができます。
急ぎの対応が必要な場合も、行政書士に依頼することで最短での申請が可能になります。役所による審査期間を縮めることはできませんが、申請書類の作成から提出までの時間を最小限に抑えることができます。
費用面でも、行政書士に依頼することで結果的にコストを抑えられる場合があります。自分で申請して差し戻しになり、何度も窓口に足を運ぶ時間と手間を考えれば、最初から専門家に依頼した方が効率的です。
当事務所では、特殊車両通行許可に特化したサービスを提供しています。初回相談は無料で、要件診断や各種相談を受け付けています。料金体系は明朗会計を採用しており、事前に必ず見積もりを提示し、追加料金は発生しません。土日祝日や夜間の問い合わせにも対応しており、メールまたはLINEで相談内容を受け付けています。
新規申請は13,200円(税込)で1台につき2経路(往復)の料金です。車両追加は3,300円(税込)、経路追加は5,500円(税込)で1経路あたりの料金です。更新申請は7,700円(税込)、変更申請は11,000円(税込)です。これらの報酬とは別に、道路管理者への通行手数料が必要で、経路によって異なりますが申請車両台数×申請経路数×200円が目安となります。
見積もり提示後のキャンセルでもキャンセル料は発生しないため、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。
まとめ:初めての特殊車両申請を成功させるために
特殊車両申請は、必要書類の準備から申請、許可証の受領まで、複数のステップを踏む必要があります。
まず自社の車両が一般的制限値を超えているかどうかを車検証で確認しましょう。超えている場合は、通行させる前に必ず許可を取得する必要があります。
申請に必要な書類は、特殊車両通行許可申請書、車両内訳書(包括申請の場合)、車検証の写し、車両諸元に関する説明書、通行経路表、経路図、出発地・目的地の地図などです。超寸法車両の場合は軌跡図も必要になります。
申請方法は窓口申請、郵送申請、オンライン申請の3つから選べます。オンライン申請は便利ですが、システムの操作に慣れるまで時間がかかる場合があります。
審査期間は3日から40日程度が目安です。車両や通行経路に特別な審査が必要な場合は時間がかかることがあります。
初めて申請する方がつまずきやすいポイントとして、車検証の情報と実際の車両の違い、通行経路の設定ミス、軌跡図の作成漏れ、申請期限の見落とし、手数料の計算ミスなどがあります。これらに注意して申請を進めましょう。
令和4年4月から運用が開始された特殊車両通行確認制度は、即時に通行が可能となる便利な制度です。ただし、道路情報が電子化された道路に限られるため、通行経路によっては従来の許可制度を利用する必要があります。
申請手続きに不安がある場合や、時間を節約したい場合は、行政書士に依頼することをおすすめします。専門家のノウハウを活用することで、スムーズに許可を取得できます。
当事務所では、特殊車両通行許可に特化したサービスを提供しています。初回相談は無料ですので、まずは気軽にご相談ください。
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- エクリ行政書士事務所







